2021年5月16日日曜日

惡の読書日記 ラスベガス★71  ハンター・S・トンプソン(著)

 2021年 5月 16日


やっと読み終えた、ハンター・S・トンプソンの『ラスベガス★71』、映画のタイトルは『ラスベガスをやっつけろ』である。監督はモンティパイソンのテリー・ギリアムである。『未来世紀ブラジル』『12モンキーズ』など、どう見ても決して超商業的に大成功したという映画ではなく、どこか考えさせる映画を作らせるおっさんである。つまり、この『ラスベガス★71』も同様である・・・。



小説『ラスベガス★71』を読み始めたが、なんという話なのか、全くついてけなではないか。著者はジャーナリストと言われているではないか?いや、ゴンゾージャーナリスト、それ何ですか?
どうやらジャーナリストでも、ゴンゾージャーナリストって事件(ものごと)の当事者側(仮に犯人側とする)に入り込んで、事実を当事者から見た視点で本質に迫る報道するジャーナリズムらしい。

で、本書がそのゴンゾージャーナリズムの視点から描かれたそうであるが、訳者後書きによるとゴンゾージャーナリズムとしては失敗作だと著者も認めているらしい。

本で読み進めても解らないから、映画で見てからと考えて、アマゾンprimeビデオでレンタルして観たのだが、これまた前述の通りどう観ても・・・・なのである、主演がジョニー・デップであっても。

ジョニー・デップ主演=商業的成功作品でないと解っていたが、どうしてジョニーデップはこの映画に乗ったのだ?というような映画である。映画の冒頭は本の冒頭と同じ、ジョニー主演のジャーナリストと連れの弁護士がクスリを大量に車のトランクへ詰め込んで、砂漠のオートバイレースの取材にいくというところから始まる。でドラックまみれの無茶苦茶な話が始まっていくのである。
映画を観た後にもう一度最初から本書を読み始めたがやはり謎は深まるだらけのストーリー。しかし、ゴンゾージャーナリズの本質というところから考えると、1960年代末期から1971年のアメリカってこんな感じだったのではなかったのだろうか?
ベトナム戦争で疲れ切った感で、その反動からか反戦運動〜ドラックが流行りだして、当時はクリントン元大統領も若かりし頃は葉っぱ吸ってたという事実。でも肺には入れてないらしいとインタビューで公言する始末、言い返せば葉っぱの吸い方を知らない糞野郎だと言える(このジョークは中学の水泳部の直系に位置する先輩で、アメリカでコメディアンをやって活躍していた先輩がテレビで話をしていたジョークである)。まあ、そんな時代であると言えるのだが、その事実の中心に迫った内容がこの本、『ラスベガス★71』だったのかもしれない。
但し、著者がいうように明らかに失敗作であると自分は思う。結局ジャーナリズム云々よりも、ドラッグカルチャーのグチャグチャな世界をクスリをやっている側の視点から描いたのだけれどけったいな小説になってしまったというのが正直なところではないだろうか?
しかし、その世界を気に入ってしまったのが、テリー・ギリアムで同じような世界を映像化してしまったのだと思う。ジョニー・デップがこんなアホな役を真面目にやっているという面白さが見れる映画と思えばそれは映画としては成功なのかもしれず、個人的には、著者の『ヘルスエンジェル』を読んでみたいです、ひょっとこれこそゴンゾージャーナリズムでは無いのだろうか?という想いだ。

残念ながら著者はすでにこの世にはおらず、
事実は小説よりも奇なりなのか、小説の方が奇なのかは確かめることはできず。

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