2019年1月27日日曜日

悪の毒書日記 黒魔術の手帖 澁澤龍彦(著) 桃源社選書版

2019年 1月 27日

昨年下旬より読み始めて、色々あって進まなかった『黒魔術の手帖   澁澤龍彦』 の桃源社選書版をやっと読み終えた。



やっと読み終えたと書いたが、実は20数年前、多分30年位前に『河出文庫版』を一度読んでいるのであるのだが。

読み始めて、過去に読んだ記憶は全く無かったが後半に行く都度、色々断片的に思い出してきた…
タイトルは『黒魔術の手帖』なのだが、内容は後半へ行くと幼児大量虐殺のジル・ド・レイに纏わる話とエピソードが断片的に散りばめられている。
このジル・ド・レイという人間は人間と思えない程の人間、貴族なのだが、その特権を利用して黒魔術師を集めて試してみたりと、やりたいことやり過ぎ、まさに理性のまま生きているという奴なのである。

なんとこの人、悪魔と複数回契約したが悪魔は現れなかったとか?意味不明な点も多いのだが、今となっては数百年前の人間であり、いま我々が生きている世界とは情報量も社会的インフラもテクノロジーも全く次元が違うのである。まったく別世界の価値観なのかもしれない。
そういった時代に生きた人と現在を比べるのはおかしいかも知れないが、しかしやった事は今現在と遥か数百年前ということに関係なく人間のやることでは無かったが、数百年前の人は今では考えられない以上に現在人より何かに怯えて生きていたのだと思う。
また、キリスト教の世界を確立して行くには『悪魔』という敵がいてこそ確立出来るキリスト教という世界だったのでなかったのか?
こんな本を昭和30年代に書いて発売していた著者も桃源社のセンスは最高である。

最後に、この黒魔術が1900年代前半にナチスの片棒を担いでしまう結果となったのは、皮肉なのか、必然だったのか、何なのか…少々後味が悪い。



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