2019年5月11日土曜日

悪の読書日記 クマのプー A.A.ミルン(著)

2019年 5月 12日

先日の「図書室の落語会」、第二部の読書会のテーマはA.A.ミルン(著)『クマのプーさん』であった。クマのプーさんと言えば、元ローリング・ストーンズのブライアン・ジョーンズが、ミルンの自宅を購入していたという位しか知識は無い。


「なんでプーさんやねん?」と思い、開催日の当日朝にやっと読み終えたという本であったが、やっとではなく2時間もあれば十分読める本であった。しかし、いままで『クマのプーさん』なんぞ読んだ事がなく、読んでみると荒唐無稽な話に驚くばかりである。
登場人物は「クマのプーさん」とピンクの子豚だけであとは悪徳ディスニーが勝手に作ったキャラかと思っていたが、実際にプーさん、子豚、ロバ、虎・・・・云々のキャラクターは原作に登場しているのであった。しかも驚くのは、プーさんは熊でなく、熊のぬいぐるみなのである、さらに他のキャラほとんどがぬいぐるみなのであること。
そして話にはクリストファー・ロビンという人間の子供がでてくる。

読めば読むほど、クマのプーさんが解らない。『アホやね〜ん!』と自ら自分の事をおつむの弱いくまやね~んと言いながら、趣味は詩を書くことであると。詩を書くプーさん『教養あるやん』。いったいあんたはなにもんやねん?と思わせる行動の数々・・・好きなのものは『はちみつ』と食べることに掛けては最優先で他の大事な要件さえも忘れてしまう・・・・そんなんでええんか?あんた?と思っても、そこはメルヘンの世界というか架空の世界。
読みながら子供が自分の部屋で一人、熊やうさぎや子豚のぬいぐるみを並べて遊びながら、話を思いつくまま一人で人形遊びに熱中している様子が頭のなかで浮かんでくる、それをこっそり覗き見している父親で作者のミルンがこそこそとメモ書きをしている様子も・・そしてお母さんが「ごはんですよ〜!!クリストファー!!」とクリストファー・ロビンを呼び出すので話はプッツリとそこで終わる、あとは父親ミルンが話を適当に終わらせる、みたいな・・・そんな光景が頭の中で走るのである。それがクマのプーさんの土台なんでは?と。

結局、読み終えると、ほのぼのとした気持ちだけが残る。

この本が出版されたのは1920年代の英国、時に第一次世界大戦で疲れ果てた英国人の方々がこれを読んで同じ気持ちになったようで、爆発的ヒットに至ったといのも納得できる。


そして続編『プー通りの家』も早々に購入して一気読みである。


ようやく虎のキャラクター『ティガ』が登場したり、前巻のエピソードがこに登場したりと、クリストファー・ロビンと動物のぬいぐるみたちのお話は収束していく。
僕が一番好きなことは『なんにもしないこと』・・・とプーに伝えるクリストファー・ロビン。
そして『なんにもしないこと』が出来なくなのるので、これで終わりにしようと、クリストファー・ロビンとプーさんは別れるのである。これである『なんにもしないこと』、そんな事を永遠に続けられるのは、生まれながらの大富豪の末裔か、霞を喰べて暮らす仙人でしかない。本当なら、みんなほのぼのと暮らせばいいのであるが、現実的にそんな事はありえない。そんなことは解っているのだが、ミルンは解りきったことをあえて言っているのだろうか…

既に作者がこの世を去って何十年、クマのプーさんをベースにしたビジネス書や研究本が相当発売されているが(日本だけなのかどうか不明)、作者が居ない今となっては作者がこの本を書いた想いは解らず、何を書いても自由だが果たしてそれは作者ミルンの思っていた世界なのかどうか?。

結局、『なんにもしないこと』の大事さが心に突き刺さるも、ほのぼのとした気持ちがそれを上回るのである。

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