2019年5月6日月曜日

悪の読書日記 哲学入門 三浦つとむ(著)

2019年 5月 5日

今年のゴールデンウィークは久しぶりに休んだ気がする、それは色々な意味でである。
自宅の書斎には積ん読(未読本のストック)が大量に準備されている、近頃はアマゾンKINDLEの中にでさえ積ん読(未読本)が増えてきた傾向にあるのも事実である。ゴールデンウィークはとりあえずご存知の通り、読みまくりの一週間であったが、主にマインドフルネスの本や小説が殆どで折角の一週間が読んだけどあんまり思考する事に力を注がなかったのではないか?と今更後悔してしまった、今日は5月5日であるにも関わらず・・・。で、積んどくから一冊の本を抜いてみた『哲学入門』三浦つとむ(著)、どうやら新品である。実は購入した記憶があるのだが、何をきっかけに購入に至ったたのか全く記憶にない。佐藤優氏の本で推奨されていたのかどうか?佐藤氏の本をひっくり返す事が面倒くさいし、AMAZONが奨めたかもしれないので、とりあえず読み始めることにした。



本書は戦後(1948年)に出版された本の復刻版であるが、発行は1975年、本書は1998年第6刷:累計12000部と記載されているので再発分だけで約20年間に12000刷というのは少ない気もすると考えるが、この種類の本ではどうなのだろう?
出版された時代が時代だけに、内容は興味深い、大東亜戦争後の裁判で裁かれた戦犯に関して相当批判的であり、さらに過去の哲学者が大東亜戦争に加担したことをかなり批判している。

しかし、その批判が論理的なのである・・・
哲学には二種類存在する。「科学的な哲学」そして「神がかりな哲学」。前者は唯物論で後者は観念論であると、過去の哲学者は大東亜戦争で、神がかりな哲学を悪用して国民を戦争に巻き込んだ事に相当怒りがあるようだ、そのうちの一人の哲学者に至っては昨年、佐藤優氏の哲学に関する本によく書かれており、哲学はマインドコントロールに悪用出来ると佐藤氏が警告していれう哲学者であり、一昨年佐藤氏は『学生を戦地へ送るには: 「悪魔の京大講義」を読む』という本も出されている。
確かに、神がかりな哲学は悪用すれば、マインドコントロールに使えるので、この延長で三浦氏は宗教団体の関係者への批判もエピソードとして書かれている。

しかし、そういった部分を仮に、仮にである。削除したとしてもこの本は『哲学入門』というタイトルから見れば、入門書としては非常に良く出来ている。
義経と弁慶はどっちが偉い?。裸の王様、吾輩は猫であるは、嘘をついて本当の事を教えている。落語の『一つ目の国』をもとに技術や科学が発達するという事はどういうことか。実に分かりやすく解説している。
弁証法については、ヘーゲルの大論理学からの定義をそのまま引用しながら、『・・・事実を正しくとらえてはいますが、それは一面の真理だけであって、全く反対の、対立した規定で補われてはじめて本当の本当の正しい規定である』、『対立した規定がその統一においてほんとうの真理であり、これが弁証法的な考え方なのです』・・・と、自ら解説しながら、前述の牛若丸と弁慶のエピソードも使って説明しています。
併せてレーニンのノートからも引用をしていますが、レーニンは書籍を持って移動できなかったので、本を読んで学んだことで大事なことはノートに書いて持ち歩きしていたということを最近何かの本で読んだのですが、そのノートのことだと思います。
また、マルクス=エンゲルスのエピソード等も引用しているので、それらから考えても本書は入門書と適していると思います。しかしマルクス主義を一押しし過ぎているように思いますが、その点は少し距離を置いて読むほうがいいのかもしれません。既にソ連は崩壊して、中国もご都合主義に移行し、既に世界的に資本主義は行き詰まって貧富の差が開くばかりの現実問題が大きな問題になってきています。

つまり、そんな時代だから哲学が必要なのだと思います、神がかりでない哲学が・・・。

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