2019年5月5日日曜日

悪の読書日記 地図にない町 フィリップ.K.ディック(著)

2019年 5月 5日

P.K.ディックの小説、短編小説を読むのは久しぶりである。数ヶ月前に「高い城の男」という長編小説を読んで以来のP.K.ディックの作品であるが短編はいつ読んだのか記憶がない。所有するディックの短編小説は多分、アーノルド・シュワレツネッガーが出演した鬼才バンホーベン監督の「トータルルコール」が公開された前後に買った短篇集ではなかろうか(しかし、表紙はHRギーガのなんでか角川文庫のハズ)。ディックといえば前述の通りハリウッド製作のSF映画の原作にされる作品が数多く、もし生きていたら大金持ちになっていたのだろうと思う日々で、多分ハリウッドなんどは原作に困ったらP.K.ディックを読め!みたいね風潮や傾向があるのだろうと勝手に想像している。なんせ読むきっかけが.AMZONビデオで配信しているP.K.ディック原作の映像ストーリー「エレクトリック・ドリーム(1話完結全11話)」を観てからである。おそらくAMZONはこれを観たからと言ってディックの作品がバカ売れして、アマゾンの売上に貢献するなんてなことは全くといって考えていないはずだ。もしこんな事を考える発想があるのは日本企業くらいだろう・・・。
前述の「高い城の男」はAMZON・プライムビデオで映像化(連続ドラマ化)されている。



今回読んだ『地図にない町』は日本語版で発行されたのが昭和51年、今回購入したのは昭和62年の10刷版であり、平成とかいう時代のさらに前である。おそろく過去に相当売れた本であると思える。SFファンだけでなく、映画「ブレードランナー」の原作者の短篇集というふれこみで当時早川書房が宣伝活動をしたかもしれない。兎に角、当時はP.K.ディックの短篇集や長編が早川書房から相当発売されている。確かにSF小説の老舗といえば早川書房であるのは間違いのない事実である。

前述のAMZONビデオの「地図にない町」などを観て、再びP.K.ディックの本を読みたくなり古本で探した短篇集が本書である、タイトルの「地図にない町」以外に「エレクトリック・ドリーム」で観た「ありえざる星」が収録されている事で、1冊で2本の原作が読めるというお得感だけで本書を選んだわけである。はっきり言えば、読みたかった2本の短編以外に、流石のP.K.ディック、あと50年分のハリウッドのSF映画の原作があるのでは?と思うくらいまだまだ映像化P.K.されていない作品があると感心し、短篇集「地図になち町」は充実した一冊である。

書かれた頃の時代背景もあり、やはりP.K.ディックの作品はアメリカとソ連が核戦争した後の設定などが多いのは事実だ。本短篇集に収録された「クッキーおばさん」の様な怪談ちっくな話もこんな話も作ってしまうのかと感動。「おもちゃの戦争」は多分、日本の某有名な漫画の中で使われた元ネタであると想像できる。「森の中の笛吹」は実に個人的に興味深く、落語にアレンジ出来るような感じがするのだが、落語にしては面白い笑える部分が無い・・・と言えるか。などと想像力を掻き立てられる。

P.K.ディックの小説にアメリカとソ連の核戦争後の設定が多い理由はよくわからないし、P.K.ディックが平和主義者だったのかどうかもよくわからない。亡くなられたのは1980年代初頭、まだアメリカもソ連もピリピリしていた時代。ただ知っていいるのはP.K.ディックがドラック・ジャンキーだったこと、特に昔々に読んだ長編「ヴァリス」にはその影響が強くでている。

これ以上P.K.ディックの小説を読んで、読み直してディックの世界を深めたいのであるが、部屋の積毒(読)を解消しなければならない事を忘れてはいけない。こっちは読書ジャンキーなのである。

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