2019年2月3日日曜日

惡の毒書日記 にっぽん製 三島由紀夫(著)

2019年 2月 3日

三島由紀夫の長編は久しぶりだった気がする・・・、いや違うか?記憶は既に崩壊している。

先月、1月から、気持ちというかメンタル面が壊れかけており、しばらく日常の仕事以外で日本語の音楽や書物を扱うのを控えていたが、ほんの少しだけ日常に戻りつつあり。何とか、書物を読んでは『日常』を取り戻しつつ・・・少しでも読んだ書物、文字の集合体の一部について記録しておこうかという事で、今までとは異なる思考回路になればいいのかと考える。SNS全盛の時代なのか、スマホでSNS登録活用をしている人はスマホ所有者の8割だとか・・・そんな時勢にも関わらず、何故かブログというものを選択してしまった。

いったい誰がこのブログを見つけてくれるのだ?


















三島由紀夫『にっぽん製』、読み終わると、何が『にっぽん製』だったのか?。主人公の女性が一年間のフランス留学(旅行ちゃうんか!!)からの帰りの飛行機から話が始まるので、このタイトルなのかと?いや、にっぽん製なのは男性主人公なのか?
それが率直な感想の一つであった。

しかし、タイトルはさておき・・・グイグイと引き込まれる三島の初期長編小説(1953年発行)。なんだか段落が短くコマ切れ的だと思って、ひょっとして新聞にでも連載されていた小説なのかと調べたら、朝日新聞に連載されていたとの事である。娯楽的作品として捉えられている為かあまり評価はされず全集に収録はされているものの、文庫本になったのは最近で、三島の没後40周年記念という事である。娯楽的作品としても三島の幅の広さを考えてもこれが21世紀に文庫化された作品でるというのは少し複雑である、三島の娯楽作品と言われれば既に文庫化された作品はいくつかあるのでは?と思うのであるが。
また、この作品が映画化、ドラマ化しているという事が娯楽作品であるとの根拠とされていたのだろうか?
とにかく『にっぽん製』はメジャーながらマニアックな作品であると言える。

何と言っても、当時の日常においての描写や説明が内容と共に面白い。蒲郡にある実際のホテル、資生堂ギャラリーにダンスホールや日常行われていた停電、当時は高度成長期で電機の需要が追いつかなかったのである。そして主人公の一人、柔道家の栗原が務める会社は鉄鋼関係、彼の所属する柔道部の試合で闘う相手も製鉄会社の柔道部である。やはり当時は『鉄』の時代だったのである。
そして柔道である。闘う男三島でボディビル、ボクシング、剣道というイメージがあるが、ここは柔道というのはフランスでの試合帰りはやはり柔道であろう。柔道でなければ成り立たないのは安易に想像出来る。

最後の展開は「読者の想像にお任せ」でブチッと、読者の方に結果はおまかせ!という問題定義をぶつけることなく終わるのであるが、その結果が前述にも書いた『にっぽん製なのは男性主人公なのか?』という小生の、実はおフランス帰りの女性主人公がフランスかぶれでなくにっぽん製だったよりも、純粋なにっぽん製は男性主人公・栗原正のことだったのではないだろうか?と・・・。

*****

一時期、小説(文学、ストーリー)を読むのをやめていた時期があった。どういうわけか読むのを嫌っていた。ストーリーを読んで、何がテレビドラマを観るのと違うのか?そこから何を学べるのか?とビジネス書を大量に読んだほうが良いのではないかと読み漁っていた。しかし、ビジネス書から学べる事はあったがやはりそれは小技の集合体で、それは絶対に悪いものではなく、知っていれば有効な武器であった。ライダーキックの出来ない仮面ライダーはちょっとだけ弱さがあるが、それ以前に仮面ライダー本郷剛は基本的に強いのである。この「強い」という部分はビジネス書をいくら読んでもそれほど強くはならないのであると。すぐに身につく教養が存在しないのと同じであり色々なモノを読み、色々な角度から観て思考しなければ「強く」はならないと・・・しかし、三島を読んで「強く」なるかは疑問であるが、一冊読んで人は強くなることはない。
しかし、三島を読んで考えていけばいくほど、この作家の面白さと恐ろしさが見えてくる。それが世間になんと言われようと。

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