2019年4月30日火曜日

悪の読書日記 我かく戦えり 近藤等則(著)

2019年 4月 30日

巷では本日『平成最後の日』だと言っては何かにつけて平成最後!、平成最後!と平成最後の大安売りである。イオンにいたっては、平成最後の5%OFFときた、イオンカードでさらに5%OFFなのである。なんでも来いなのだ・・・。
昔々、音楽を始めたきっかけは、日本のパンクバンドリザートとオートモッドという日本のパンクバンドの影響だが、実際に楽器を奏でてギグをするように至るきっかけというか、フリーインプロヴィゼションをやり始めたのは電気トランペッターの近藤等則氏の影響そのものである。当時というか20年位前にやってた音楽はフリーインプロヴィゼイションいわゆる即興演奏であった。元々パンク⇒ノイズ⇒轟音ギター⇒即興・・・というルートにするのが一番説明が簡単であると思う、というかこの詳細は個人的過ぎる内容なのでどうでもいいことであろう。



ふとしたことで、十数年ぶりに近藤の『我かく戦えり〜近藤等則の即興的人生論』を再読してみた(多分これまで3回目以上少なくとも読んでると思う)、まだまだ中国が今の経済力を得るはるか前、ロシアが崩壊する少し前に書かれた本であり、当時80年代〜90年代に日本のグループで日本以外の海外諸国で演奏活動をしていたバンドで、ライブ数は断トツだったIMAバンドだった。そのIMAバンドを率いていた近藤のコトバは非常に重要で、今読んでもかなり心に響いいてくる。決してタレント本なんかでは無く、ミュージシャンが適当に出版する音楽のおまけみたいな本では全くない。確かに雑誌等のコラムに掲載された文筆も含まれているのだが、それですら実に興味深い内容が多い。
本書が発売されたのは1992年、時代はバブル崩壊直後だったが、日本でサラリーマンが家をまだまだ買うことが出来なかったりした、銀行ローンの金利が高かった時代でそれに関係するする話などが少々懐かしい。
どういう訳か俺は、ある日会社帰りにあべの橋のユーゴー書店の地下一階でこの本を手に取り取り買って、近鉄電車に乗り込んで電車の中でこの本を読み始めた記憶がある。そして結果的にそのあと人生が狂ったように即興演奏にのめり込んで行くのである・・・が、当時聴きこんでいたNYのバンド「NAKED  CITY」のサックス奏者であるジョン・ゾーンが実は近藤のニューヨーク時代の親友だったという話も大きく影響しているのだと今になって分析できる。ぶっ飛んだ奴らはどこかで繋がっているのかと、これに感動した覚えがある。ジョン・ソーンは同時期に元ナパーム・デスのBPM計測不可能超高速ドラマー「ミック・ハリス」と「PAINKILLER」というグラインドコアみたいなジャズバンドを演っていた、じつはコレもお気に入りだったのは彼らが即興演奏だったというのも前述の俺自身がパンク⇒ノイズ・・・というところであるからだと思う。
この本を読んで直ぐに、俺はCD屋や中古レコード店で「近藤等則IMAバンド」のCDやレコードを買い漁り始めた。そしてIMAバンドを聴きまくった俺は思った・・・

これだ!、と。

そして翌月、俺は渋谷のクラブクアトロで電気ラッパの爆音に旧友達と酔いしれていた。
ラッパって、逆さまに吹けるのか?

IMAバンドはインプロビゼーションでは無いが、これは絶対に演ってみる価値があると確信した。


結局、今現在、音楽の活動はしていなのであるが、記憶を戻せば当時社会人になって一年目か二年目だった。なんでか当時も今の様に日々なんでか悩んでいた。仕事の面でうまく行かなかった事もあったと思う。そんな時に出くわしたのがこの本だった・・・これで俺の人生は大きく変わっていった。変わっていったといよりも価値観が変わっていったのだと思う。それまで、一年か、二年やっていたサラリーマンの生活に疑問やなんか違和感なんかもあった。しかし、現在もサラリーマンであるのだが、現在は周りの人からは大分変わった奴と思われているのは事実である。その理由はこの通りなのだ・・・

今でこそ、マクロビだ、血液は腸で作るとか、玄米だ・・・と言われているのだが。殆どの内容は既に近藤が20代の頃にやっていたらしく、自分を強くするために色々と試したそうである。ミュージシャンとして世界で闘うのなら、既に体力ではアメリカの黒人に負けている。そんな状況で世界で勝負出来る訳がないと考えた結果のことらしが、現在でも状況は変わらないが、体力どころかいまだに文化力ですら負けている。そんな考え方も、この本を読むまで解らなかった・・・


「本」は何気なくいや突然、偶然にみえて必然的にやってくる。一冊の本の出会いが人生を変える事があるのかといえば、あるのである。本を読まない人はどういったところで人生が変わるポイントに出くわすのだろう・・・?。そんな他人の事は忘れ・・・常に本を読む人間であっても、その本が本当に必要なのかどうか、読んで理解できる人間でその時にそんな人間であるのかどうかで偶然なのか、必然なのかが大きく変わってくる。
そして書いた著者もおそらく、他人の人生がこれで変わると思って執筆していないだろう。しかし、現実に一冊の本で人の人生が変わることもあるのである。


そして俺はもうひとつ解った、面白くない文章を書く人間の奏でる音は、全く面白くないと。

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